初歩の電子工作実験室 |
◆ LED実験室 |
■内容・・・ |
1・抵抗によるLED電流制限の実験 2・定電流ダイオードによるLED電流制限の実験 3・LEDの自己発熱による電圧変化についての実験 4・抵抗、CRD、帰還型定電流回路のまとめ 5・抵抗、CRDの電圧/電流特性の実測結果 |
1.
LED電流制限抵抗を測定してみよう! 【オームの法則】・・・E=IR R(抵抗):単位Ω(オーム) E(電圧):単位V(ボルト) I(電流):単位A(アンペア) |
LED電流制限抵抗値の求め方はE=IRよりR=E/Iとなり 抵抗値(Ω)=(電源電圧−LED電圧)÷電流 で求められる。 【テスト条件】 @電源電圧を車の充電電圧に合わせてDC14.4Vとします。(直流安定化電源を使用) A使用LEDはロームのφ5赤SLI-570UT(1.9V/20mA)5個直列接続とします。 上の条件の場合で電流20mA流した時の抵抗値を上の式より計算すると LED電圧は5個直列で合計LED電圧=1.9×5=9.5Vになります。 したがって理論値は抵抗値=(14.4-9.5)÷0.02=245Ωとなります。 B245Ωという値は抵抗の規格にはないのでE24系列 抵抗値一覧から選択します。ここでは300Ωと240Ωの時の比較測定をすることにします。 C測定回路図 Vrを測定し、電流=Vr÷抵抗値より電流値を算出する。 ●それでは実際に抵抗値の違いによるLED電流を測定してみましょう。 部品の抜き差しが容易にできるブレッドボードを使用することにします。 @まず測定回路図を見ながらブレッドボードにLEDと抵抗を配置します。ブレッドボードの内部の端子配置は上右図を参考にしてください。LEDには極性がありますので取り付ける向きに注意して下さい。最初は抵抗値300Ωを使用してみます。 A外部の機器とコードで上左の写真のように接続します。電源から接続されている端子が綺麗なミノムシクリップで、汚れたミノムシがテスターに接続されています。 DC50Vレンジ 【電源電圧の調整・測定】 @テスターはDC50Vのレンジに合わせてテスターのスイッチを入れます。 A電源のスイッチを入れてテスターの目盛りが14.4Vの位置になるように直流電源の出力電圧を調整します。 【抵抗の両端電圧を測定】 @テスターの測定端子を抵抗の両端に移動し、テスターの測定レンジをDC10Vレンジに変更します。 Aテスターの電圧値Vrを読み取りオームの法則 I=E/R(電流=電圧/抵抗)で計算する。 テスターの目盛り:電圧5.05V、抵抗値300Ω・・・5.05÷300=0.0168A(16.8mA)となります。 @次に300Ω抵抗を240Ωと交換し同じように測定します。 Aテスターの目盛り:電圧4.95V、抵抗値240Ω・・・4.95÷240=0.0206A(20.6mA)となります。 ほぼ理論値と一致しましたね。 精度を上げて測定したい場合は金属皮膜抵抗(誤差±1%)の使用をお勧めします。今回使用したカーボン抵抗の誤差は±5%です。 テスターを電流レンジにして直列配線することで電流測定できますが、テスター自体の電圧降下があるためか僅かに低めの値となるようです。 LEDには温度変化によって電圧変動がありますので5〜10分程放置しておいて測定するといいです。 僅かな電圧変動ですが抵抗値が小さすぎると電流変化が大きくなります。LEDの電圧変化については下のテスト3を参考にして下さい。 |
2.
定電流ダイオード(CRD)を測定してみよう! ●それでは次に定電流ダイオード(CRD)によるLED電流を測定してみましょう。 【テスト条件】 @電源電圧を車の充電電圧に合わせてDC14.4Vとします。(直流安定化電源を使用) A使用LEDはロームのφ5赤LED(1.9V/20mA)5個直列接続とします。 CRD 電圧−電流特性よりCRDにかかる電圧を4.5V以上とします。 B定電流ダイオードのE-153(1個:15mA)とE-103(2個並列:20mA)の測定をします。 C測定回路図(テスターを電流レンジにして測定する) 左図はE-153とLED5個直列接続、右図はE-103並列接続の方法 【電源電圧の調整・測定】 @抵抗の時と同じように電源電圧を決めます。抵抗の変わりにCRDを差し替えします。ただし、CRDには極性がありますので取り付ける向きに注意して下さい。逆に接続すると導通状態となりLEDが破損します。 A外部の機器とコードで上の写真のように接続します。電源プラス端子からテスターのプラス端子に接続し、テスターのマイナス端子をCRD+LEDのプラス端子に接続します。 電源のマイナス端子はCRD+LEDのマイナス側に接続します。最初はCRDのE-153(15mA)を使用します。 @テスターはDC25mAの電流レンジに合わせてテスターのスイッチを入れます。 A電源のスイッチを入れて数分放置しておきテスターの目盛りが安定してから電流値を読み取ります。 左上の写真の値が電源投入時です。(14.7mA)右が数分経過した値です。(14.0mA) DC25mAの電流レンジで測定していますので目盛りがそのまま電流値となります。 【LEDを1個にして測定】 @ここで上と同じ条件でLED接続数を1個にした場合はどうなるのでしょうか? 数分経過した値は右上写真のように14.0mAと5個接続の時とほぼ同じ値となります。この辺が定電流回路のいいところです。定電流回路は電圧変動に対して影響を受けないということが理解できるかと思います。しかし抵抗の場合ではこうはいきません。抵抗値を変える必要がでてきてしまいます。 次に・・・ 【E-103並列接続にて測定】 @上の写真のようにE-153をE-103(10mA)2個並列接続に交換して同じように電流値を読み取ります。CRDの極性に注意して下さい。 E-103並列接続2個の理論電流値は10×2=20mAとなります。 A左上の写真の値が電源投入時です。(19.5mA)右が数分経過した値です。(18.7mA) 時間の経過とともに電流値が少し下がるのはCRDの自己発熱による温度特性によるものです。 CRDに風を送って冷やすと電流値が増えるのが確認できます。逆に暖めてやると電流が減ります。 CRD部品の電流誤差は規格によるとE-103(8〜12mA)、E-153(12〜18mA)となっております。 並列接続の場合は組み合わせによって電流誤差が大きくなると思われます。 |
3.
LEDの自己発熱による電圧変化を測定してみよう! ●LEDの自己発熱による電圧変化を測定してみましょう。 LEDの自己発熱による微小な電圧変化を測定するには精度が良い定電流回路が必要となります。電流が変動してしまうと意味がなくなってしまうのでここでは温度変化が少ないレギュレータICを使用して定電流源を造ることにします。 【テスト条件】 @電源電圧を車の充電電圧に合わせてDC14.4Vとします。(直流安定化電源を使用) A使用LEDはロームのφ5赤LED(1.9V/20mA)5個直列接続とします。 B定電圧レギュレータ(LM317LZ)と金属皮膜抵抗62Ωを使用します。 C測定回路図(電圧Vaを測定します。) 【回路の電流値を計算】 このレギュレータ(LM317LZ)は1.25Vの基準電圧を保ちます。帰還制御型のため電圧安定度が非常によく温度変化も少ないです。このICに抵抗を接続することで定電流源を造ることにします。この部品の組み合わせの定電流値を計算してみると オームの法則(I=E/R)より・・・定電流値=1.25÷62=0.02016(20.16mA)となります。 DC25mA 実際に電流を測定してみると20.4mAです。ほぼ理論値ということで・・。温度変化を確認するためドライヤーで暖めてみましたが針はビクともしません。電流安定度はかなりいいようです。 ではこれでLEDの自己発熱による電圧変化を測ってみることにします。 使用したLEDの電圧規格は(1.9V/20mA)ですので5個直列では1.9×5=9.5Vになるはずです。 DC10Vレンジ 左上の写真の値が電源投入時(9.5V)です。右が数分経過した値(9.4V)です。 約0.1V程度下がっているのが確認できます。ドライヤーなどで暖めるとさらに下がるのが確認できます。LEDの色や種類によって数値は異なるようですが温度が上昇するとLED両端電圧が下がる傾向にあるようです。 温度が上がるとLED電圧が下がるということは抵抗にかかる電圧が増えるので抵抗の場合では電流が増えることを意味します。逆にCRDや定電流回路では一定電流を保持します。 LEDを5個直列で約0.1Vの変動はごく僅かに感じますが電流制限抵抗を小さな抵抗値(数十Ω)に 設定すると0.1Vはかなりの割合を占めることになります。たとえば10Ωの場合は10×0.02=0.2V ですから0.1Vの変化はかなり影響を受けることがわかります。そのため抵抗値が小さくなってしまう場合は 実測で電流を確認する必要がありそうです。抵抗値を大きくするにはLEDの直列接続数を減らすことでできます。 抵抗値がある程度大きい方が電流安定度は良くなります。 4. 【まとめ】 【温度変化に対して】 ●抵抗・・・LEDの自己発熱や周囲温度が上がると電流が増える方向にある ●CRD・・・LEDに関係なくCRDの自己発熱や周囲温度が上がると電流が減る方向にある ●帰還型定電流・・・温度に関係なく電流が安定している 【電圧変動に対して】 ●抵抗・・・電源電圧の変動を受けやすい(定電圧化が望ましい) ●CRD・・・電源電圧の変動を受けにくい(定電流回路の特徴) ●帰還型定電流・・・電源電圧の変動を受けにくい(定電流回路の特徴) 【電流設定に対して】 ●抵抗・・・電圧が変わると抵抗値を変える必要がある。 ●CRD・・・電流値は限られた製品の中から選ぶ必要がある。 ●帰還型定電流・・・設計により電流値を設定できる。 【パルス駆動に対して】 ●抵抗・・・OK ●CRD・・・OK ●帰還型定電流・・・不可(低速は可) 【コストについて】 ●安い<抵抗<CRD<帰還型定電流<高い 参考:LED規格が20mAの場合、メーカー推奨動作電流は0〜20mAとなっています。 規格が10mAの省エネタイプもありますので注意して下さい。 ●LEDの配線方法について 光度−順方向電流特性(ロームSLI-570、560) NSPW500BSの電流値と明るさの違い 左から・・・1mA(E-102)5mA(E-562)10mA(E-103)15mA(E-153)20mA(E-103×2)です。 5. ◆CRD+白色LED(3.6V/20mA)配線による電圧-電流特性の実測値 ●電流の上限が決まっているので安全です。(CRD=定電流ダイオード) ◆抵抗+白色LED(3.6V/20mA)配線による電圧-電流特性の実測値 ●電圧が高くなる程電流は増えていきます。抵抗値が大きい程なだらかな特性曲線となります。(電流変化が少なくなる) ◆電流制限なしの白色LED(3.6V/20mA)配線による電圧-電流特性の実測値 【質問】14.4V電源で白色LED×4個の場合3.6V×4=14.4Vになりますが抵抗が必要ですか? 【回答】上の図を比較して解るように電流を制限するものが必要です。 実測してみるとLEDの電圧-電流特性は整流用ダイオードと特性の傾向が類似しているのが解ります。(印加電圧を上げていくとあるところで急激に電流が流れ出すのが整流用ダイオードの特性です。) ※白や青などの電圧の高いLEDは実測すると仕様書の特性よりも電流が多く流れる傾向があるようです。電流制限していないので自己発熱による温度上昇に伴う電圧低下が起因しているかもしれませんが?・・赤や黄色よりも誤差は大きいです。(3番のLED自己発熱による電圧変化を参照)
◆抵抗自体の電圧-電流特性の実測値(抵抗とLEDとの違い) 抵抗自体の電圧−電流特性はダイオード(半導体)特性とは違って電圧に比例して電流が増加していきます。これがオーム(Ω)の法則です。 |
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